アルトの疑問を楽天市場で解決しよう
アリス・オジーの処世術。それは…
王侯貴族とは、その羽飾りのため、銀行家とはその莫大な財産のため、芸術家とはその個性のためつきあうこと。
（アリス・オジー の肖像画パリ3区の美術館）
大好きな椿姫についてかかせてもらったのですが、同時代に活躍した女優、アリス・オジーについて書いてみました
（この絵はパリ、カルナヴァレ美術館蔵であるアリス・オジー）
本名はジュリジュスティーヌ・ピロイで1820年パリ生まれです
アリスは割と裕福な宝石商の娘だったのですが、両親の中が悪く、乳母の娘と家出をして針で生計をたてていたところ、アリスの美貌が目に止まり、１９歳でヴァリエテ座で女優としてデビューしました。
ヴァリエテ座は演技力よりも女優の容姿を重視していました。
当時のフランス国王の息子で美貌の王子のド・マール公爵がアリスの舞台を見にいき、アリスにひとめぼれします
フランス王子の愛人となれば、女優としても社交界の女性としても格が上がると計算した彼女は、王子の愛人になります
しかし当時王子は１９歳で自由になるお金があまりありませんでした
（当時１９歳で美男子として有名だった王子であるド・マール公爵）
（アリスと同じペレゴー伯爵をパトロンにもった高級娼婦マリー）
そこで登場するのが前にかかせていただいた椿姫と呼ばれたと結婚した、銀行家の息子ペレゴー伯爵。
ある日ヴァリエテ座のアリスのもとに、二万フランもする高級馬車が馬丁つきで届けられた。
贈り主は莫大な財産を持つペレゴー伯爵でした。アリスはペレゴー伯爵とつき合い、同時にド・マール王子を捨てました
捨てられた王子、ド・マール公爵はアリスに手紙を書いた
『あなたが私を愛してくれなくなっても私は以前より深くあなたを愛していることだけは申し上げておきたい。とにかくペレゴー伯爵とは会わないで欲しい。そうすれば純粋な愛が再びあなたの心に蘇るだろうから。』
しかしアリスは王子を無視。
ここでアリスの人物像について、書いてみたいのですが、アリスは対局的な性格で純粋さと計算高さを持っていたそうです。
センスがよく色のトータルルックを重視し、ブルーの馬車のときはドレスから靴まですべてブルーに統一し、次の日はピンクに統一して人前にあらわれたりしていました。
（女好きだった文豪ヴィクトル・ユーゴー）
さらにアリスはあの『レミゼラブル』の作者、ヴィクトル・ユーゴーに言い寄られ、あっさり振っています
そしてなんとヴィクトル・ユーゴーの息子と付き合い始め、父親は大ショック
（人気絶頂期のアリスはかなり調子にのって傲慢になっていたよう）
さらにアリスは小説家の恋人の手によって主人公となっています。
小説の題名はマデロン。作者はアリスの恋人エドモンド・アブー。
それによるとアリスは、とても魅力的なブルーグレーの瞳をもち、無邪気な印象を与えたそうです。
さらに美人というわけではないが、全体として整っている。
彼女に会えば不思議と果実の甘さと香りを感じさせる。男心をくすぐる力があり、魅力的な欠陥と完全性の持ち主だとあります
（エドモンド・アブー）
彫刻のような完全な美人ではないけど、男性からモテる雰囲気と、アリスにしか出せない独特のオーラ特に目が魅力的だった模様アリスは３５歳で女優を引退し、グローナンというお金持ちに囲われることになったからです
さらにクルティザンヌとしては大変珍しいことながら、恋人たちからもらった株券などからかなり裕福な生活を送ったようです。
アリスの同僚であるクルティザンヌたちは、老い、破産し、街で身を売る老売春婦と成り果てていました。
とポロリと友人に本音を書いていることから、アリスが華やかな生活も長かっただけにかなりさみしい晩年を送ったことは確かなようです
（晩年のアリス・オジー）
しかし、、パリにいても訪れる人も少なくなり、パリを捨てて田舎に引越しします。
昔の恋人である画家シャセリオーはすでに死んでいました。
アリスとシャセリオーは２年ほど交際していましたがほんの些細なことで破局。
数十年後年老いたアリスはシャセリオーの甥であるアルトゥール・シャセリオ男爵を訪問しまし、昔愛した人を思い出して泣いていました。
（アリスの恋人だったテオドール・シャセリオー）
昔アリスが捨てた恋人、ド・マール王子がときどき訪ねてくれることだけを楽しみにしていました
（シャセリオーがアリスをモデルに描いたとされる絵）
それでも寂しかったのか、アリスは友人に、
『私の健康のぐあいがよくなったと申し上げれば喜んで頂けるかしら？でも死神は残酷よ。
私を受け入れるのを拒絶ばかりするのだから。こんなに悲しく寂しい生活から逃れることができたら本当にうれしいのに。。。』
とポロリと友人に本音を書いていることから、アリスが華やかな生活も長かっただけにかなりさみしい晩年を送ったことは確かなようです
（アリスのスケッチ）
そしてアリスが熱望した死神は1893年3月4日にアリスのもとを訪れ、アリスは７２歳で人生の幕をおろしました。
（アリスの眠るペール・ラシェーズ墓地大理石の彫刻、処女と子供がアリスの眠りを守っています。）
「アルト」で学ぶ仕事術
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